第三の医学「礒谷式力学療法」70年の伝統と実績
礒谷療法は昭和26年、礒谷公良によって提唱された、すでに70年をこえる歴史をもつ療法です。
ここで、礒谷療法について理解を深めていただくために、礒谷療法が誕生したいきさつをご紹介します。
礒谷公良は、毎日、骨折や捻挫で来院する患者さんを診ているうちに、中風(脳出血などによって半身不随や手足のマヒなどが出る)、股関節脱臼、小児マヒなどの症状・疾病をもつ人の歩き方に疑問をもちました。
「なぜ、あのような歩き方をするのか?」
「なぜ、足をひきずって歩くのか?」
「原因がわかれば、治すことができるのではないか?」
この疑問が、のちに礒谷療法として確立される物理療法の、すべての出発点でした。昭和20年代のことです。
そして、日々の診断や観察の結果、あのような歩き方をするのは、両足の長さが違うからではないか、との推察をもつにいたります。
これを検証するため、数多くの患者さんの足をレントゲン写真に撮り、大腿部や下腿部など左右の骨の長さを厳密に比較していきました。
すると、中風の人も小児マヒの人も、骨の長さはどの部分でも、左右同じであることがわかりました。ほとんどの場合、左右の足の骨に長短があるわけではなかったのです。
では、なぜ、左右同じ長さなのに歩くと跛行(はこう)をするのか? なぜ、体が大きく傾いてしまうのか? 新しい疑問が次々とわき上がってきます。
礒谷公良は、注意深く患者さんたちを観察していくうちに、ついにその原因をつきとめました。
足の長短をつくっている原因は、股関節にあったのです。
さらに、股関節の角度を調整すれば、足に長短がつくれるのと同時に、左右の足の長さを同じにできるという、画期的な事実を発見したのです。
そんなある日、左足のほうが5センチも長い女性が診察を受けに来ました。彼女は、自分は体が弱く、疲れやすく、右手が上がらず、おまけに婦人科系の病気で苦しんでいる、と訴えました。
礒谷公良は、その女性の長いほうの左足を内転させ、短い右足を外転させて、両足がほとんど同じ長さになるように矯正してあげました。
しばらくして、その女性が、「私は礒谷先生に足の長さを矯正する治療を受けただけなのに、いつの間にか肩こりはなくなり、疲れにくくなり、体がとても軽くなった」と、うれしそうに話していることが耳に入ってきました。
それを知った礒谷公良は、両足の長さは上半身にも何か関係があるのか? もしあるとしたら、どんな相関関係があるのか? ということの追求を、本格的に開始したのです。昭和26年のことでした。
その後、何千人、何万人という患者さんを施術しながら、足の長さと股関節角度の関係、および全身の疾病との関連性を克明に究明し、次々と明らかになってきた因果関係を体系化していきました。
こうして生み出されたのが、現在、多くの人々の健康を取り戻し、すばらしい実績をあげている礒谷療法なのです。