☆中国初の本格的な「礒谷療法講習会」が開催

 ご報告が遅くなりましたが、礒谷療法の本格的な講習会が中国本土で初めて開催されたことをお知らせします。

 2014年5月14日~16日の3日間、中国・杭州市において、中国の「全国脊柱健康学術委員会」「「全国中医養生専門委員会」の招きにより、私たち礒谷療法を中国の整体実践家に伝授するための集中的な実践講習会を開きました。

 この両組織は、中国医学、日本で言えば“漢方医”の組織です。中国医学は、中国では西洋医学と同程度の評価を受けていることは今では広く知られていますが、このような“権威ある組織”から私たち礒谷式力学療法が評価され、招待されたことは長年に渡る礒谷療法の実績な認められたことだと考えています。

 礒谷療法講習会の詳細については、後で詳しく報告しますが、この講習会の中国側参加者が50名を越えたことをまず最初にお知らせします。

 私たち礒谷療法は、礒谷圭秀院長、小林哲也準教範の2名が講習会の指導に当たり、実りある会になったと確信しています。

☆世界遺産の街・杭州市

 杭州市は、上海の南西150キロメートルに位置する浙江省の省都で、日本でも広く知られている中国有数の古都です。

 とくに世界遺産にもなっている西湖は有名で、中国春秋時代の美女にもたとえられる美しい姿は風光明媚な湖として多くの観光客を引き付けています。杭州の起源は古く、秦の始皇帝が開いたと伝えられますので、約2200年の歴史があることになります。以後交通の要衝として栄え、9~10世紀には呉越国の、12~13世紀には南宋の首都になり、今では中国六大古都の一つに数えられています。

 元の時代にはマルコポーロが杭州を訪れ、この街を「地上の楽園」と称えていますが、杭州を、あるいは西湖を世界的に有名にしたのは北宋時代の詩人・蘇東坡です。

 蘇東坡は北宋の役人として杭州に赴任したのですが、西湖の美しさに魅せられ、この湖を春秋時代の美女・西施に譬えて“西湖”と名付けたといいます。蘇東坡は西湖の治水を管理する堤も建設したようで、今でもその堤は「蘇堤春暁」として残っています。また蘇東坡は、西湖の美しさを詠んだ詩を多く残していますが、杭州市内にも多くの詩碑が建立され、その功績を今に伝えています。さらに蘇東坡の考案した料理は杭州名物として有名で、杭州にとって蘇東坡の存在の大きさを実感させられます。

 その一方、杭州市内は地下鉄も走り、日本からの直通飛行機も発着する国際空港を完備した近代都市という側面もあります。

☆講習会参加者は50人以上

 講習会会場は杭州市内の浙江東方豪生大酒店(オリエンタルホテル)2階の大会議場でした。

 会期は前述したように、5月14日~16日の3日間。時間はAM9時~PM5時までの8時間。途中1時間の昼食休憩があるとはいえ、1日7時間の講習会となりました。 講習会参加者も濃密な講習会内容に苦労していたようですが、指導する礒谷、小林両先生は全身全霊をかけて講習会に臨みました。というのも、講習会参加者の皆様は、疲れてくると講習会会場を抜け出し、適当に休みを取っていたようですが、指導する両先生はサボるわけにはいかないからです。

 当日の参加者の皆様は中国整体の先生方がほとんどですが、漢方医だけでなく西洋医学の医師も参加していたことが印象的でした。日本の一民間療法である礒谷療法に偏見なく接してくださる態度には感服しました。後で話を聞くと「良い療法には国も制度も関係ない。良い療法を学ぶことは当たり前のことです」と言っていました。

☆海外での活動はハプニングも多い

 中国本土で初の本格的礒谷式力学療法講習会でしたので、思わぬハプニングの連続でした。まず最初に、マットも無い、座布団も無い、枕も無いという状況を知ることになりました。事前に、マット・座布団・枕の重要性を中国側主催者に知らせてあったのですが、中国側は礒谷療法で使用する実物を知らないものですから、とんでもない物を用意していました。

 そこで急遽、マットはヨーガ用の物を用意してもらったのですが、座布団はどうしても手に入りません。

 今までの経験で言うと、日本ならば家庭用の座布団で何とか代用してきたのですが、中国ではそうはいきません。中国の座布団は一般的に薄いですし、何よりも表地がツルツルしているので、積み重ねて使用する礒谷療法には適しません。

それでも何とか工夫して、座布団矯正ができるようにしました。

☆ハプニング続出も楽しい?!

 そして講習会が始まると、2日目、3日目には「無関係の人」たちが押しかけてきました。評判を聞き付けて来た人、講習会参加者に誘われた人、あるいは講習会参加者が自分の患者さんを連れてやって来たのです。講習会参加者の人が実際に礒谷療法に触れてみて、礒谷療法の効果を知ったことによる行動なので、その意味では私たちにとって嬉しいことなのですが、講習会現場は混乱してしまいます。

 新来の参加者の望みは礒谷療法を受けたいということです。言ってみれば、患者の感覚でやってくるのです。しかし今回の講習会は整体の専門家への礒谷療法への伝授が目的です。講習会主催者は、来場した人たちに礒谷療法施術をしてくださいと言います。何よりも、通訳は一人しかいないので言葉の問題があり意志疎通が十分とは言えませんでした。

 それでも何とか、多くの人の要望をさばき、講習会を無事に終了することができたのは、礒谷・小林両先生の経験によるものだと考えています。海外での講習会やセミナーではどうしても思いもしないハプニングが続出します。そのハプニングを楽しむ(?)ことが海外での講習会・セミナー成功のために必要なことなのでしょう。

☆講習会の内容

 講習会の内容については詳細をお知らせするスペースは本欄ではありませんが、私たちの狙いは「治療現場で礒谷療法を生かす」ということでした。

 1日目、2日目、3日目とカリキュラムは用意していったのですが、現場で大きく変更しました。礒谷療法を生かすためには、絶対に「足型判定の正確さ」が必要です。その点に目標を定めて徹底したのでした。

 今回の講習会の題目が「礒谷療法基礎講習会」でしたので、「足型判定」とそれに続く「礒谷療法施術」のみに絞りました。礒谷療法の要である「座布団矯正」は前述した中国製座布団の問題、講習会時間の問題により省きました。

 中国の先生方が、整体の現場で少しでも礒谷療法を使えるようにすることを眼目にしたのでした。そのためには徹底的に「足型判定法」にこだわりました。ところが、問題が発生しました。「足型判定法」は地味な勉強ですので、参加者の多くが“飽き”てくるのです。もっと“派手な”ことを教えてくれという要望が出てきました。

 日本ならばこのような要望は出てこないのですが、ここでもお国柄の違いを実感させられました。講習会参加者の要望に応え、それでも私たちの狙いを通すという作業は異国での講習会・セミナーでは避けて通れないということを改めて実感しました。

☆講習会参加者の反応は上々

 講習会は礒谷院長による「礒谷療法理論の解説」から始まったのですが、礒谷理論そのものがあまり知られていない中国だけに、その反応は大きなものがありました。

 「信じられない」「どうしてそうなるのか」という否定的(?)な意見もありましたが、それは少数派で、「これは素晴らしい」「この理論は斬新で正しい」「今までの疑問が解けた」といういささか大袈裟なほめ言葉も会場には溢れました。

 礒谷院長の講演中にも質問が続出し、質疑応答も活発に行われ、今までの講演には無い雰囲気でした。中国本土での礒谷療法のインパクトがいかに強いかの証明だと思われます。

 礒谷療法施術のパフォーマンスが行われると、会場の雰囲気はさらにヒートアップします。中国人だけに反応は日本人とは桁違いです。モデルとして礒谷施術を受けた人が、大きな声で「腰の痛みが消えたぞ」と叫ぶように言うと、会場内は拍手喝采の大盛り上がりです。

 それは良いのですが、中国人の特性として自分もやりたいのです。参加者の全員が次々と礒谷療法施術にチャレンジするため、収拾することと、私たちの段取りに戻すことに悪戦苦闘しました。それでも、今回の講習会参加者は皆整体の専門家ですし、意欲的に取り組んだこともあり、それなりの成果を得たようです。

 何よりも、参加者の多くが礒谷療法を評価し、真剣に学ぼうと思っている姿に接したことが最大の収穫でした。

☆大パーティーが開催される

 5月14日~16日の3日間は「礒谷式力学療法講習会」が開かれましたが、それに続いて、中1日おいた5月18日、「全国脊柱健康学術委員会」「「全国中医養生専門委員会」主催の大パーティーが開かれました。

 このパーティーは両委員会に所属する整体専門家、漢方医など約300人を越える人が中国全土から集まり、活動の報告を行う主旨のパーティーだったようです。

 最初に主催者から「基調報告」があり、次いで「来賓あいさつ」があり、その後、各種の「資格取得」セレモニーなどがあり、その合間に芸人による歌・踊り・奇術のパフォーマンスなどもあり、パーティーを盛り上げるという趣向です。

 昼食時になると、円卓方式の食事会が始まり、懇談するという趣向もありました。このパーティーには「礒谷療法講習会」に参加した人の大半は出席していたようですが、初対面の方々も大勢います。そんな状況でしたが、礒谷療法のあるいは礒谷院長の存在感は抜群だったことを報告します。

☆主賓は礒谷院長

 このパーティーの「来賓あいさつ」のトップバッターに礒谷院長が選ばれました

 中国の大学教授、大治療院のオーナー、高名な整体専門家を差し置き、トップバッターとして礒谷院長が講演を行うと、パーティー出席者の多くは演壇近くに殺到してカメラやビデオの撮影を行いました。

 「まるで主催者のような人気ですね」とは中国人スタッフの感想ですが、確かに中国人の多くは礒谷療法に深い関心を寄せていてくれたことは実感できました。

 院長の講演が終わると、多くの聴衆の方々が院長との記念撮影を望み、院長の座席近くに殺到し、一時は収拾がつかなくなるほどでした。

 さらに礒谷療法の実演を望む声も多数寄せられましたが、時間の都合で断らざるを得ないことは残念でした。

☆礒谷院長の感想

 中国本土で初の本格的講習会でしたので、緊張感をもって臨みました。また出発から帰国まで1週間という長丁場だったため体調管理にも注意を払っての中国行きでした。

事前に伝えていたにもかかわらず、現場ではマットは無い、座布団は無いなどのハプニングの連続でした。大変なことがたくさんあった中国行きでしたが、終わった今、行って良かったと本当に思います。

1日8時間の講習会は正直しんどい思いもありますが、それ以上の喜びを得た1週間でした。講習会参加者の皆様の願い、思い、礒谷療法に対する期待をひしひしと感じることができ、それに応えられた充実感があるからだと思います。

中国人参加者の多くは整体専門家でしたので、礒谷療法施術をみるみる吸収してくれたと感じられたかもしれません。正直なところ、中国に行く前は、現在の日中関係から不安な気持ちがありました。

行ってみると「良い治療は国を越えて認める」という中国側の言葉を戴きました。その意味では、中国本土に礒谷療法の橋頭堡を築くことができたのではないかとい気持ちはあります。

☆小林先生の感想

 予想以上の講習会参加者、そしてその人々の熱気がもろに感じられた3日間でした。

1日8時間、3日間の講習会は正直かなりタフな日程でしたが、中国人参加者の熱意が疲れを忘れさせてくれました。参加者の多くは整体専門家でしたので、質問もかなり突っ込んだものが多くあり、緊張感ある講習会でした。

日本では考えられないパフオーマンス性に満ちた講習会になり、大きな盛り上がりをみせ終了したことは良かったと思います。私個人としても、施術、礒谷療法解説にそれなりの役割を果たし、充実した時間をおくれました。

中国本土の人々の礒谷療法への関心度の高さ、あるいは期待の高さは中国に来る前に想像していた以上でした。私たち礒谷療法総本部が今後中国本土で何を行うか、この責任の重さを実感します。期待の大きさ、責任の重さに応えられるように日々精進しなければという思いを改めて強くした中国行きでした。

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